9月11日、新知創造学際ハブの「金属製考古資料分析ユニット」、通称「金属遺物ユニット」の第8回定期研究会がオンラインで開催されました。
今回の話題提供者は藤澤 敦 氏で、テーマは「金研機器を用いた金属遺物の分析(1)―SEM-EDSを用いた検討」です。藤澤氏は、古墳時代を得意とする考古学者で、今回は古墳時代後期から終末期(飛鳥時代)にかけて多数出土する金属製の耳飾り(耳環(じかん))の分析について話題提供しました。
金属遺物ユニットとは
学際ハブの「ユニット」とは、学際ハブで繋がる多くの分野の研究者たちがテーマを絞って情報を共有し議論する場です。
この金属遺物ユニットは、東北大学 総合学術博物館の藤澤 敦 教授が幹事となって、原則第二木曜日の16時30分から1時間30分の予定で定期研究会を開催しています。8月はお休みでした。
耳環とは
副葬品の耳飾り
耳環は外径2~3cmのドーナツ型の一部が切れた形をしていて、多くは銅製と思われる芯材を金色や銀色の薄い金属で巻いて作られています。6世紀後半~7世紀前半に多く作られたと考えられ、装着したまま埋葬されている例も多くあります。また、埴輪(はにわ)にも耳環を付けた表現が見られます。
耳環をX線CTで観察すると、表面の金属が折りたたまれているようすを観察できます。しかし、実際にどんな金属で作られているのか、確認した例は少ないということです。




SEM-EDSによる分析
金研の新知創造学際ハブの教授も兼任する藤澤氏は、金研の杉山 和正 名誉教授や新素材共同研究開発センターの技術職員 成田 一生 氏の協力を得て、SEM-EDS(走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法)による表面観察を行いました。表面にある元素の定性と、おおまかな定量ができます。
金色に見える耳環も銀色に見える耳環も、金と銀と銅が含まれていることなどが確認できました。藤澤氏は、「金属遺物にとっては、さまざまな分析の第一段階として有効な方法と考えられるので、上手に活用していきましょう」と締めくくりました。


次回の開催について
10月の金属遺物ユニット研究会は都合によりお休みとします。次回は11月13日(木)16時30分からの予定です。
学際ハブの活動に関心を持ってくださる研究者で、金属遺物ユニットに参加ご希望の方は、学際ハブ推進室までご連絡をお願いします。
※Googleフォームが立ち上がりますので、[お問い合わせ項目]では「研究会等イベントについて」を選択し、[お問い合わせ内容]に「研究会参加希望」とお書きください。
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