宮本教授の「人類と金属材料」
金属材料研究所の宮本 吾郎 教授は今年度、学問論演習を担当することになりました。学問論演習は、全学部の1年生が自由に選び、少人数で専門分野の研究現場を体験できる授業です。
宮本教授は文理の共同研究を進めるプロジェクト「新知創造学際ハブ」に参加しており、その活動の一環として、金属を通して人類の営みを考える授業を計画しました。
学際ハブのネットワークを活かして、文学研究科 考古学教室や総合学術博物館の教員が協力し、古代~近世の金属資料が準備されました。それらの資料の金属組織を調べ、古代の金属と現代の金属の違いを確かめるのが演習の目標です。最終日にはポスターにまとめることになっています。
初回の授業は
10月5日、初めての授業がありました。履修した学生は、工学部2名、理学部1名、医学部保健学科1名の計4名で、履修を希望した理由は、この後全く触れることがないだろう学問に触れてみたいから、考古学に興味があるから、将来金研で研究したいからなど、さまざまです。
文学研究科 考古学研究室の松本 圭太 准教授は、実験用に多数の資料を提供し、初回授業の講義を担当しました。

金属当てクイズ
宮本教授は「まず、クイズに挑戦してもらいます」と言って、8つの金属の円柱と電子天秤、定規、磁石を机に並べました。金属柱にはそれぞれA, B ,C ,…の記号がついています。クイズは「ウェブを使っていいので、これらの金属が何か15分で答えてください」というものでした。
金属の周りに集まり戸惑っていた学生たちは、次第に、手分けして磁石につくか調べ、長さと質量を測り、ホワイトボードに書き出し始めました。一覧表ができると、スマートフォンを手にして金属の色を確かめています。少しずつ答えが埋まっていきますが、制限時間いっぱいまで学生たちは悩んでいました。答えが全て出そろい、自信があるものから答え合わせをしていくと、なんと全問正解。宮本教授はとても悔しそうでした。


講義
続いて、宮本教授と文学研究科 考古学教室の松本 圭太 准教授から「人類と金属材料」についてそれぞれ講義がありました。
宮本教授の専門分野は、金属の微細組織を制御し新しい構造材料を開発することです。講義では、鉄鋼がいかに多く作られ消費されているか、を説明したあと、同じ元素でも組織によって性質が変わること、それを顕微鏡で観察できることが紹介されました。最後に、金属の高機能化と資源循環を両立させることが必要と説きました。
松本准教授が専門とするのは、紀元前のユーラシア大陸の青銅器文化です。いつ、どこで、どのように青銅器が作られ伝わったのか、これまで分かっていることと、調べる難しさを伝えました。宮本教授からは、大陸文化がどのくらい遅れて日本に伝わったかや、純銅と青銅の間に使われていたというヒ素銅について質問がありました。


実験対象の検討
いよいよ、次々回から実験を行う対象をどれにするか、検討の時間です。
宮本教授が準備した資料は8種類あります。中には旧金属博物館所蔵資料など、とても貴重な資料もあります。
どれを選び、4人でどう分担するか、まずアンケートを取りましたが、「あれもやりたい」、「これも気になる」とまとまりませんでした。学生たちが悩んでいる姿はとても楽しそうでした。教員二人も笑顔で見守っていました。次回、大学の付属図書館でもう一つの資料を見せてもらうことになっているので、その後で決めましょうということになりました。
この授業がどうなるか、続きはまたご報告します。

手前の4人は学生、奥の左から宮本 吾郎 教授、松本 圭太 准教授
学問論演習とは
東北大学では、実社会や高次の研究に生かせる専門的知識をもち、現代的で広い知見と豊かな人間性・国際性を備えた学生を育成するため、全ての学部にまたがった全学教育を実施しています。
その中に、基盤科目として1年生を対象とした「学問論演習」があります。学術研究の在り方の理解を通じて、それに携わる者の基本的姿勢を育むことが目的で、他学部・他学科等の教員が担当する授業を積極的に履修するよう推奨されています。学生は複数の授業の中から選び、履修希望を出すことができます。
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